あのときの記録その1(2011年産茶葉の放射能検査)

2011年産茶葉の放射能検査結果アーカイブです。お茶の川村園では2011年産茶葉製品の放射能検査を実施・公表していました。その時に旧ホームページに掲載したものを、記録として、そのまんまコピペいたしました。

震災の前年である2010年が「不作の年」だった静岡茶・・・その翌年にあたる2011年は一転、本当に品質が良く美味しい新茶ができ、大喜びでお客様へ新茶を提供できるはずでした。しかしながら、福島から遠く離れた静岡にまで放射能は飛んできておりました。新茶のご予約は次々にキャンセルされたことを覚えております。この時は、「安全と思っていただくにはどうしたらよいか」「どうすれば安心していただけるのか」ばかり考えていました。



▼▼▼以下、コピペです▼▼▼

平成23年度産静岡茶の放射能に対する対応(最終更新2012年1月18日)


※※これより下の記述は、平成23年度の「暫定規制値」適用時のものです。

【静岡茶信頼回復へ向けての当店の取り組み】

静岡茶は、全品検査を実施いたしております。

検査済のお茶を販売しております。

検査の結果は包み隠さず公表しています。

当店の静岡茶は、影響の少ない静岡県西部地域産を使用しています。

現行規制値を乾物茶葉でクリアする限り、充分に安全を担保できると、当店は考えています(詳しくは後述)。

当店は茶専門店です。茶は嗜好品ですので、検査実施を前提に今後も静岡茶を継続的に販売してまいります。

安全の尺度は人それぞれです。少しでも不安な方には、鹿児島産などの代替品をお勧めしていますので、遠慮なく何なりとお申し付けください。

ご不明な点、疑問点には、店主が責任を持って対応し、正直にお答えしています。

いつも、お茶の川村園をご利用くださいましてありがとうございます。

静岡茶につきましては、自治体の抽出検査に加えて、第三者機関での自主検査を徹底し、安心してお飲みいただける製品の提供に全力を注いでおります。

当店で販売する静岡茶につきましては、
自治体が実施する「サンプル調査」に加えて、
仕入れ先の製茶工場及び荒茶生産者が任意に実施した自主検査の結果が、国の定める規制値を下回っていることを条件に、静岡茶製品の仕入れを行っております。



お茶の川村園では、静岡茶製品の自主検査を実施し、結果を公表しています。

静岡茶の自主検査結果一覧表(当店実施分及び仕入れ先各社実施で当店関係分)

商品名(検体)セシウム134セシウム137セシウム合算換算値(※)
霧山河(深蒸し)126Bq/kg144Bq/kg270Bq/kg4.3μSv/kg
峰の雲170Bq/kg220Bq/kg390Bq/kg6.1μSv/kg
早乙女121Bq/kg150Bq/kg271Bq/kg4.2μSv/kg
お国なまり(静岡茶70%)66Bq/kg81Bq/kg147Bq/kg2.3μSv/kg
特製緑茶(茎茶ブレンド)85Bq/kg100Bq/kg185Bq/kg2.9μSv/kg
かりがね50号(茎茶)160Bq/kg170Bq/kg330Bq/kg5.3μSv/kg
毎日茶(未選別荒茶)72Bq/kg82Bq/kg154Bq/kg2.4μSv/kg
毎日茶かりがね85Bq/kg87Bq/kg172Bq/kg2.7μSv/kg
上玄米茶(静岡茶55%)85Bq/kg98Bq/kg183Bq/kg2.9μSv/kg
若葉かぜ(限定販売品)190Bq/kg230Bq/kg420Bq/kg6.6μSv/kg
新茶ゴールド(限定販売品)150Bq/kg150Bq/kg300Bq/kg4.8μSv/kg
K社一番茶(製茶)159Bq/kg173Bq/kg332Bq/kg5.3μSv/kg
T社一番茶(製茶)160Bq/kg170Bq/kg330Bq/kg5.3μSv/kg
T社本山茶A(製茶)220Bq/kg230Bq/kg450Bq/kg7.2μSv/kg
T社本山茶B(製茶)170Bq/kg190Bq/kg360Bq/kg5.7μSv/kg
O社一番茶(TB用粉茶)98Bq/kg96Bq/kg194Bq/kg3.1μSv/kg
O社二番茶A(製茶)74Bq/kg86Bq/kg160Bq/kg2.5μSv/kg
O社二番茶B(荒茶)46Bq/kg53Bq/kg99Bq/kg1.6μSv/kg
K社2010年産(水出し用原料)未検出未検出---------------

ヨウ素131は、すべての検体で未検出(検出限界値未満)となっていますので、記載しておりません。
試験方法は、ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析法で、精密検査と呼ばれるものです(検査は全て外部の第三者機関に依頼しています)。
検体は、製茶(製品茶葉そのもの)または荒茶(生葉を乾燥させ一次加工した茶葉)です。


(※)BqからμSvへの換算について
経口摂取(口から食べたとする)時の係数としてCs134は0.019、Cs137は0.013を乗じて、
それぞれの換算値を合算しています。
「霧山河(深蒸し)」の場合の計算例:
126×0.019+144×0.013=4.266
換算値の有効数字を2ケタとし、
4.266の3ケタ目を四捨五入して、4.3と表記しています。

この計算値は「預託実効線量」と呼ばれ、
体内に取り込まれた放射性物質によって、摂取後50年間に渡って受ける放射線を 最初の1年間で受けた(預託)と仮定して計算された放射線とのことです。
したがって、この数値は1回の被ばく量ではなく、50年間に渡って影響を受ける被ばく量の積算値です。
また、この数値を単純に50で割った数値を年間被ばく量とすることは、不正確です(例えば、セシウム137の半減期は30年ですが生物学的半減期が100日であることも考えると、摂取後数年間で積算期間が終了すると見なせる、という考え方もあります)。
以下で示す、年1ミリシーベルトという基準との数値比較では、便宜上「預託実効線量」の計算値をそのまま使用いたしますが、この数値は、厳密には摂取後50年間の積算被ばく量であることを付記いたします。


その他製品につきましても、
製造メーカーにおいて、製品もしくは原料茶の自主検査を徹底しております。

当店が仕入れる静岡茶は、
島田市、牧の原市、掛川市、遠州森町など、静岡県西部地域で生産されたお茶ばかりです。
浅蒸し煎茶製品の一部で「本山茶」の取扱いがございますが、仕入れ先工場において当該製品原料の自主検査を実施しています。
なお、関東方面のお茶の取扱いは一切ございません。

マスコミ報道等により、ご心配をおかけいたしますが、当店及び仕入れ先各社ともに正直な検査を自主的に(自腹で)実施して、安心できる静岡茶の流通に全力を注いでおります。
何卒、ご理解くださいますよう伏してお願い申し上げます。


【安全とする根拠】

お茶は現行の規制値が守られていれば、1人当り年間消費量を考慮すれば、年1mSv基準に対して1%未満となるので、充分に安全を担保できると考えています。

お茶に対する、放射性セシウムの暫定規制値は1㎏当り500ベクレルとなっています。
この数値は、畑で摘み取った「生葉」だけでなく、その後加工された「荒茶」「製茶」にも適用されています。
この1㎏当り500ベクレルは、製品つまり乾燥した茶葉1㎏当りの数値であるということをご理解ください。

一方、安全性を考えれば、年間1ミリシーベルトが限度であるということをよく耳にしますので、次のような試算をしてみました。

【1年間で規制上限値のお茶1kgを消費した場合でも年1mSv基準の1%未満になります】
日本人1人当りの年間緑茶消費量は800g程度なのですが、
わかりやすく1年間で1kg消費するとします。
つまり、
暫定規制値上限値500Bq/kgの茶葉を1kg消費して、茶殻まで食べたとします。
セシウム134とセシウム137が半々(250ずつ)だと仮定して、ベクレルをシーベルトに換算します。
セシウム134は、1ベクレル(Bq)=0.019マイクロシーベルト(μSv)ですので、
250×0.019=4.75(μSv)・・・・・A
セシウム137は、1ベクレル(Bq)=0.013マイクロシーベルト(μSv)ですので、
250×0.013=3.25(μSv)・・・・・B
これらを合算(A+B)すると、
4.75+3.25=8(μSv)になります。
したがって、
暫定規制値上限値500Bq/kgの茶葉を1kg消費して、茶殻まで食べたら、8マイクロシーベルト(μSv)と試算されます。
マイクロはミリの1/1000の単位ですので、
8μSv=0.008mSv
となり、
暫定規制値上限値500Bq/kgの茶葉を1年間で1kg食べても、
年1ミリシーベルト(mSv)という安全基準に対して0.8%にすぎないということになります。
また、茶殻を食べない人は、さらに低い値になります(茶の消費の95%が飲用形態です)。


【1人で毎月300g消費されるヘビーユーザーでも・・・】
暫定規制値500Bq/kgの茶葉を、1人で毎月300g消費すると年間で3600gになります。
これを茶殻まで食べたら、
28.8マイクロシーベルト(μSv)=0.0288ミリシーベルト(mSv)です。
それでも、年1mSv基準に対して3%未満となります。
また、さきほどと同様、茶殻を食べないなら、数値はさらに低くなります。

以上の試算によって、
規制上限値のお茶であっても、年間1ミリシーベルトという安全基準に対して、1%未満(ヘビーユーザーでも3%未満)となることから、
現行規制値(製茶・荒茶で500Bq/kg)を守ることによって、安全なお茶を提供できると、当店は判断しています。
安全をお約束するためにも、当店及び仕入れ先各社とも自主検査を徹底しております。

【飲用茶について】
急須で淹れた湯茶のことを「飲用茶」といいますが、
お茶の消費形態の95%が「飲用茶」です。
当店も、仕入れ先でも、「飲用茶」の検査も実施しましたが、その結果は全ての検体で「未検出」(=検出限界以下)となっています。
また、「飲用茶」では、「製茶」や「荒茶」のベクレル値の約85分の1となるという試算もありますので、
「霧山河(深蒸し)」の「飲用茶」でのベクレル値は
「製茶」の測定値270を85で割って、約3.2Bq/kgと試算できます(飲用茶1リットル当たりのベクレル値)。

実際に1リットルの「飲用茶(湯茶)」を淹れる際に使用する茶葉の量から、さらに厳密な試算も可能です。
例えば「霧山河」の茶葉25g(=0.025kg)を使用して1リットルの湯茶を淹れる場合、茶葉に含まれるセシウムの50%が湯茶へ移行すると仮定すると、
270×0.025×0.5=3.375
つまり、この場合は計算上「飲用茶」では3.4Bq/kgと試算できます。(さきほどの単純に85で割った試算値と比較しても大きな差異はありません。)
消費者が実際に口にする段階である「飲用茶」の検査結果を表示することが、消費者にとって最もわかりやすいですし、実態としても妥当なことなのですが、
現行の基準が「製茶」「荒茶」にも適用されている上に、「飲用茶」の検査結果が「未検出」であっても、おそらくゼロではないだろうとの推測は容易です。
「飲用茶」=「未検出」の表示は、多くの消費者を安心させる方法のひとつとも考えられがちなのですが、当店では、「製茶」「荒茶」の数値を公表することで、消費者の皆様ひとりとりの消費量に応じた影響の試算が可能になると考えております。

福島由来の放射性物質は国内だけでなく海外でも検出されているということは、残念ながら国内産に「ゼロ」を求めることは難しいと考えられます。そうした厳しい現実を踏まえて、まずは正直に測定し、包み隠さず公表し、この災害と向き合っていく必要があると、当店は考えています。




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